【糖質制限の批判を検証】糖質制限食に健康リスクはあるか?

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厚生労働省と農林水産省がまとめた「食事バランスガイド」では1日約100gの消化性炭水化物(糖質)の摂取を推奨していますが、はたして糖質制限はずっと続けても本当に安全なのか気になるところ。

糖質制限することによって、自然と脂質やタンパク質の摂取比率が高まり過剰摂取につながったり、ケトン体が血中に増えて酸性になることで体に害になることがないのか?

今回はそのような疑問について、論理的に説明をしたいと思います。

ケトン体が増えて血液が酸性になって危険?

カラダの2大エネルギー源は糖質と脂質です。

糖質を制限すると、脂質が使われやすくなり、その結果、ケトン体が体内で生まれます。

体脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解され、肝臓で脂肪酸からケトン体が作られます。

血液は弱アルカリ性だが、ケトン体は酸性の物質。

インスリンを分泌する細胞が破壊される1型糖尿病の人が甘い飲み物などを飲むと高血糖と血液が酸性が同時に起き、「ケトアシドーシス」に陥り、重篤となります。

しかし、それはインスリンが分泌されず、体内の代謝に異常があるからで、インスリンの作用があれば生理的ケトーシスでアシドーシスにはなりません。

糖質を制限するアトキンスダイエットは40年間で数十万人以上が実践していますが、ケトアシドーシスの報告は過去に2006年に2例のみ。

1人は嘔吐を数日繰り返したことで食事が取れず、脱水からアシドーシスになったものと推察されており点滴による水分補給で速やかに回復しました。

もう1人は同一人物が4回起こしたという報告で、何らかの代謝疾患をを持っていると思われています。

脱水で血液中の水分が不足すると血液のpHを保つ仕組みが狂い、血液が酸性に傾くアシドーシスになりやすくなります。

水分とミネラルをしっかりと摂取していれば糖質制限の安全性に問題はありません。

タンパク質の過食はカラダに悪い?

食べてカロリーになるのは、糖質の他にタンパク質と脂質があります。

糖質を減らすと相対的にタンパク質と脂質の摂取が増加しますが、それによる健康リスクはないのでしょうか?

まずは、タンパク質について。

ハーバード大学の疫学グループの調査によると、アメリカの女性看護師8万2802人を20年間追跡調査し、喫煙や運動などの影響を除いて解析した結果、総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質は冠動脈疾患(心血管系疾患)に影響しないことがわかりました。

この実験はアンケート調査だが、看護師が回答し対象者数も追跡期間も長いことから信頼度は高いと考えられています。

脂質の摂りすぎが心配だ

続いて考えたいのは、脂質摂取の増加が危険かどうか。

実は中性脂肪やコレステロールが高いと心血管系疾患が増えるという説は2004年に否定されています。

動脈硬化の真の原因はストレスや食後高血糖などによる血管内皮細胞の炎症が原因。

コレステロールは炎症を起こした細胞膜の修復に不可欠なので、動脈硬化を起こした血管から見つかったことで誤解されていました。

遺伝的に脂質代謝に異常がある家族性高脂血症の人以外、食事からのコレステロールや中性脂肪の摂取は心配しなくても大丈夫です。

家族性高脂血症はLDL-Cが異常な値になるので、一度でも血液検査を受けて異常が見られなければ安心といえます。

コレステロールの多い食事をしても血中のコレステロール値は上がらす、むしろコレステロールは免疫にも関わるのでLDL-Cが高値の方が長生きすることになります。

また、イギリスの公的医療期間のガイドラインが小児性難治性てんかんの治療として、脂質75〜80%というケトン誘導食を認めているという事実も低糖質・高脂肪食の安全性を示しています。

糖質制限食でも健康でいられるのか?

糖質制限食は1食10〜20gの糖質摂取量ですが、1食5g以下にする糖質ゼロ食を行っている人の例があります。

被験者は糖尿病を患って糖質を厳しく制限したところ、84Kgだった体重は6ヶ月で69Kgまでダウンしました。

また、1ヶ月で空腹時血糖と肝機能の指標であるγ-GTPが正常値まで低下しました。

肝臓で糖質が作られる新糖生により血糖値はキープされ、ケトン体は増えましたが、さらに糖質ゼロ食を実践している16人の採血の平均値ではpH7.36と弱アルカリ性で心配されるケトアシドーシスは起こりませんでした。

また、タンパク質代謝では腎機能は正常、脂質代謝では中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールともに異常はありませんでした。

糖質制限食はずっと続けて本当に安心なのか?

短期的に健康リスクがなくても、果たして10年、20年と長期的に続けてもカラダに害はないのでしょうか?

ヒトは1万年前に農耕を始めるまで動物、魚介類、野草、昆虫、果物、種実類が主な食物でした。

米や小麦はなく、もちろん砂糖なんてものもなかったので、人類全員が糖質制限食の実践者であったはずです。

糖質制限食は特別な食事法ではなく、ヒトの生理にあった自然な食事なのかもしれません。

 

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